涙は単純じゃない
現代人を悩ますドライアイ。
オフィスワーカーを対象に大阪で行われた大規模な疫学調査で判明したドライアイの有病率は、確定例が11.6%、疑いも合わせると65%に及ぶことがわかっており、日本国内でも2000万人以上のドライアイ患者がいると推計されています。
実はひとくちにドライアイにと言っても涙の量が少ないだけではなく様々なタイプがあり、そのタイプは涙のどこに異常があるかで決まります。さらにそれによって治療法も変わってきます。そこでまずは涙についてご説明します。
涙は三層構造
涙は98%が水でできていますが、実は角膜に近い部分からムチン層・水層・油層の三層構造になっています。
ムチン層
ムチン層は結膜表面にあるゴブレット細胞から分泌される粘液でできています。この粘液はいわば涙の土台となる部分です。土台がしっかりしていないとその上の涙が安定しませんしこぼれ落ちてしまいます。
水層
水層は涙の主成分です。上まぶたの耳側にある涙腺から分泌されます。この中には塩化ナトリウムやカリウム、カルシウムなどの電解質、タンパク質(リゾチーム、ラクトフェリンなど)、ビタミンA、酵素などが含まれています。
油層
油層は瞼のきわに開口するマイボーム腺から分泌されます。涙を被膜のように覆うことで蒸発を防ぐ役割を果たします。
このように、一見単純に見える涙も実は複雑な構造をしており、それぞれの層のどれかひとつが異常をきたしても「ドライアイ」という状態になりえます。
涙の役割
涙は
・眼を感染から守る
・目の細胞の活動をコントロールする
・涙の安定性を高めて目を乾燥から守る
・まばたきを円滑にする
といった大切な役割を果たしています。
涙を健康な状態に保つことは眼の健康にとってとても大切なことです。
涙が出にくかったり目が乾燥しやすい方は是非一度眼科医にご相談ください。
記事監修:河口内科眼科クリニック副院長/眼科専門医 河口奈々恵 →医師紹介
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