見たいところが見えにくい? ― 黄斑浮腫について
私たちが「ものを見る」ためにとても大切な場所が、目の網膜の中心部にある“黄斑(おうはん)”です。黄斑は、細かい文字を読んだり、色を見分けたりするために欠かせない部分。その黄斑に水分がたまり、むくんでしまう状態を“黄斑浮腫(おうはんふしゅ)”と呼びます。
黄斑浮腫は、放っておくと視力の低下が進み、元に戻りにくくなることもあるため、早期発見と早期治療が大切です。
そこで今回は、黄斑浮腫の症状や原因、治療法についてご紹介します。
黄斑浮腫の症状
黄斑にむくみが出ると、次のような症状が現れやすくなります。
✔︎ 視力が落ちてきた
✔︎ 全体がぼやけて見える
✔︎ 見たいところがよく見えない
✔︎ ものが歪んで見える
✔︎ 明暗の差が分かりにくい
✔︎ 色の見え方が変わる
黄斑浮腫を引き起こす病気
黄斑浮腫は、いくつかの目の病気や手術後に起こることがあります。
■ 糖尿病網膜症:高血糖で血管が弱くなり、水分が漏れ出す
■ 網膜静脈閉塞症:静脈が詰まり、血流が滞ることで水分が漏れる
■ ぶどう膜炎:炎症により血管が障害される
■ 白内障術後:手術後の炎症反応によって一時的に起こることがある
また、ごくまれに一部の薬剤で副作用として生じることもあります。
・ゼポジア(オザニモド塩酸塩):潰瘍性大腸炎治療剤
・パクリタキセル(アブラキサン):抗悪性腫瘍剤
・タモキシフェン(タモキシフェンクエン酸塩):抗乳癌剤
・イムセラ(フィンゴモリド塩酸塩):多発性硬化症治療剤
・緑内障点眼薬 など
いずれも稀な頻度ではありますが、これらの薬剤を使用中に目の見え方に異常を感じた時には眼科で検査を受けましょう。
検査方法
眼科では次のような検査で診断を行います。
✔︎ 視力検査、眼圧検査、眼底検査
✔︎ OCT(光干渉断層計)による黄斑の断面画像検査
✔︎ 必要に応じて、視野検査や色覚検査、蛍光眼底造影検査など
治療法
原因に応じて治療を行います。
■ 抗VEGF薬の硝子体注射
■ 抗炎症薬(ステロイド薬、非ステロイド薬)の注射や点眼、内服
■ レーザー治療
■ 薬剤の副作用で生じた場合、ほとんどは原因薬剤の中止により改善
まとめ
黄斑浮腫は放置すると視力の低下が進行し、回復が難しくなることがあります。しかし、早期に適切な治療を行えば視力の維持・改善が可能です。
見にくくなった、歪んで見えるなど、少しでも気になる症状があればどうぞお気軽にご相談ください。
記事監修:河口内科眼科クリニック副院長/眼科専門医 河口奈々恵 →医師紹介
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